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古典音律-1(純正律・ピタゴラス音律)

現代音楽では12等分平均律が基本となっており、ピアノの調律も殆ど平均律で行います。しかしその平均律には、どの音程も(ユニゾン、オクターブ以外)純正音程が存在しないという大きな欠点があります。中でも特に残念な点は、純正に近い長3度・短3度が存在しない点です。

ここでいう古典音律とは、純正の主要三和音から生まれた純正律音階と、古代ギリシャの数学者ピタゴラスによる純正5度で構成される音階とが起源となり、「美しい和音を残しつつ、いかにして全ての調で演奏ができるのか」を追求し、発展していく過程で生まれた調律法の数々をいいます。

 

■純正律

純正律とは、純正の主要3和音(純正5度+純正長3度/短3度)により構成されたもっとも原始的な音律です。こちらは主要3和音とその転回和音が純正ですが、その他和音は他の調に依存します。理論上での最大の欠点は、全音階内の完全5度のうち、ハ長調ではD-A間、イ短調はG-D間の5度がシントニックコンマ分純正より狭くなり(約680cent)多くのうなり(濁り)が生じてしまう点です。

*ハ長調の主要3和音・C/E/G・G/H/D・F/A/C

 

*イ短調の主要3和音・A/C/E・E/G/H・D/F/A

 

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純正律の12音律については、クロマチック(黒鍵)の配置に関して多くの考え方があります。
12音純正律については、また改めて考えたいと思います。
 

因みに、単純にCを基音とした自然倍音で12音階を割り振ってみると下記の様になります。
GanassiやMalcolmの純正律と同じく、純正長3度4つ、純正短3度4つを有します。
どの本にも紹介されてないのですが、参考までに・・・
(FとAsは、それぞれGとEの転回音程として算出してます)
 

 

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■ピタゴラス音律

一方、ピタゴラス音律は純正5度を重ねて出来た音階ですが、純正5度を12回重ねた(五度圏を一周した)幅は、純正7オクターブより約24cent(ピタゴラスコンマ分)多くなります。 12音階にすると1箇所そのコンマ分狭い5度でつじつまを合わせる事になります(ウルフ5度)。この音律では、8つの約22cent(シントニックコンマ分)広い、若干うなりの多い長3度が存在しますが、5度はウルフ5度以外は純正となります。ピタゴラス音階の全音階的全音はすべて大全音で等間隔となり、全音階的半音は、ピタゴラスリンマ 256/243 となります。

 

*ピタゴラス・コンマと5度圏

 

 

 

*ピアタゴラス音律の半音

古典音律について
  ・ピタゴラス・リンマ (ピタゴラス変半音・例えばC→Des):短2度。音程比 256/243
  ・ピタゴラス・アポトメ(ピタゴラス嬰半音・例えばC→Cis ):増1度。音程比 2187/2048

 

 

*左回りリンマと右回りアポトメとの差はピタゴラスコンマ(PC)にあたります(重なる部分)。リンマのDesとアポトメのCisは鍵盤上では同じ音ですが、音の高さが異なりPC分の差異が生じるので、この様に扱う場合は異なる音とすべきです(異名異音)。逆に12等分平均律では、音名が違っても鍵盤上で同じ音であれば(当然ではありますが)DesもCisも同じ高さなので、同じ音とします(異名同音)。

(旧サイトより転載)

 

古典音律について

*参考文献
平島達司 著「ゼロビートの再発見 本編/技法編」
      「オルガンの歴史とその原理ー歴史的オルガン再現のための資料ー」
野村満男 著「チェンバロの保守と調律 本編/補遺編」
      「Morzartファミリーのクラヴィーア考」
H.ケレタート 著「音律について」
ウィキペディア
平島達司 氏 過去のミュージックトレード誌投稿記事より

*計算はexcel関数(極力誤差を少なくする為下4桁まで算出)
日々、勉強しながら更新しておりますのでご了承下さい m(_ _)m

 

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